No.15
CLAUDE THORNHILL

先日、佐賀県の唐津市にニュースカイラークオーケストラで演奏に行きました。ダンスフロアーがあり、そこで生演奏にあわせて踊るのですが、皆さん大変うまいのでびっくりしました。もちろん若い人あまりいないのですが、中年以上の人は、昔キャバレーでよく踊ったということです。

今月はこんなダンスの音楽では最高のバンド、CLAUDE THORNHILL ORCH.です。ずっと以前、雑誌時代にこの中のバンドシンガー、フラン・ウォーレンをとりあげたことがあります。彼女はこのオーケストラの中ではなくてはならない存在で、「SUNDAY KIND OF LOVE」「EARLY AUTUMN」等、美しい曲を聞かせてくれます。そして何よりすばらしいのは専属ボーカルグループ、スノーフレイクスです。トミー・ドーシーのパイドパイパーズやグレンミラーのモダネアーズに通じるものがありますが、スノーフレイクスはもっと繊細で、本当に雪が降ってくるような美しいハーモニーを聞かせてくれます。クロード・ソーンヒル楽団のサウンドも木管を生かした包みこむようなあたたかい音で、他のバンドにはまねのできないすばらしいものです。

 


No.14
MARTHA TILTON

最近、ニュースカイラークオーケストラや森山輝生トリオの演奏でいろんなところに行きます。大分、佐賀、鳥取、名古屋、その他今年中はスケジュールがいっぱいです。なぜこんなにオファーがあるのかと考えてみると、メンバーの年齢が、79歳、72歳、70歳、63歳と高齢だからです。50前の私でも子供あつかいです。お客さんが言うには、年を取っても、何かやろうと思えばできるんだ、という希望を与えてくれるとのことです。テクニックの面では今の若い人達にはかないません。しかし、音楽はサーカスや競技ではないのです。それを今のミュージシャンにわかってほしいですね。

今回のアルバムは、マーサ・ティルトンです。彼女はベニー・グッドマンのバンドシンガーで、代表曲は「And Angels Sing」という曲で有名です。私は一時この人にぞっこんになってしまったことがあります。LPレコードはあまりないのですがSP盤をさがし求めて何枚も買って聞いたことがあります。写真はキャピトルのSP盤をオムニバスにしたCDですが、本当にすばらしいものです。こういう音を聞いて本当の音楽とは何かを考えてみて下さい。

 


No.13 「100 STRINGS AND JONI」
JONI JAMES

今このコラムを書き始めてもう10年以上になります。ホームページ上に掲載されるようになったのは最近ですが、ずっと雑誌に書いていたのでずいぶん長いこと書いているんだなと思います。他のコラムでも10年以上続いているというのは、あまりないのではないでしょうか。

今までに多くのシンガーやミュージシャンをとりあげてきましたが、なぜかこの人は今まで一度もとりあげたことがなかったと思います。これほどすばらしい歌手をなぜ書かなかったのかと言うと、ボーカルファンの間でずばらしいと絶賛しているので、こんなに有名な人をあえてこのコラムでとりあげる必要はないと思っていたからです。

ところが、友人が私のところに来た時たまたまJONIのレコードをかけたら、あまりのすばらしさに感動したのです。一度聞くとJONIの不思議な魅力にどんどんひきずりこまれるのです。私もJONIというだけで次々とレコードを買ってしまった時代がありました。SPレコードまで買い漁ったこともあります。今一度こうして聞いてみると、又JONIの魔力にとりつかれそうになる自分が怖いです。

 


No.12 「EVERY GOOD BOY DESERVES FAVOUR」 THE MOODY BLUES

今月もジャズではありません。私が中学生の時に買ったレコードです。久しぶりに聞いてみるとすごく良く出来たアルバムです。先月のキングクリムゾンよりは、ポップで聞きやすいのではないかと思います。この時代のロックの名盤と呼ばれるものは本当にすばらしいものが多く、再度聞き込んでみようと思います。

ムーディーブルースは、他にも、サテンの夜・神秘な世界、等名盤がたくさんあり、若い人に聞いてほしいですね。現在のありふれたメロディしかなじみのない若者には新鮮に聞こえるはずです。ボーカルのジャスティン ヘイワードは、ソロアルバムや、ジョンロッジとの共作アルバムも出ていてどれもが美しくロマンチックな曲ばかりです。

ジャズのアドリブの世界にどっぷりつかっているミュージシャンやリスナーにぜひこの時代のロックの素晴らしさを理解してほしいですね。使い古されたバップフレイズやモードフレイズでは、もう感動することはできません。グループが一丸となってひとつのトータルアルバムを作ってゆこうという姿勢に感動できます。本当のジャズファンには理解できるはずです。

 


No.11 「リザード」キングクリムゾン

今月は70年代の代表的なプログレッシブバンド、キングクリムゾンのセカンドアルバム「リザード」です。キングクリムゾンといえば、ファーストアルバムの「クリムゾンキングの宮殿」が一番有名ですが、私はこの「リザード」が一番好きです。30年以上前に買ったLPですがいまだに時々聴いています。

この時代のキングクリムゾンは、ジャズ的な要素が強く、テクニック的にも現在の一流ジャズメンよりも勝っているのではないかと思います。ジャズメンだったらスケールの羅列的なアドリブの展開をしていって、全然聴く気がしないのですが、クリムゾンはアドリブにしてもちゃんとしたドラマがあります。

現在のジャズメンよ、自己満足の押しつけみたいな演奏はもうやめてほしい。子供の自慢話みたいな演奏は人に聴かせてはいけない。もっと音楽を愛していくと、今演っていることのおろかさに気がついて悔い改めるはずです。一生気づかないミュージシャンもいるかもしれませんが。とにかく、音楽は理論やテクニックではありません。