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No.40
「An evening with JAYNE」

  
 早いもので今年も終わりに近づいてきました。この時期になるとクリスマスソングが聞こえてきて年の終わりをますます感じさせてくれます。クリスマスソングは数多くありますが、私が一番好きなのは「Have Yourself A Merry Little Chirstmas」です。この曲はヴィンセント・ミネリの映画『MEET ME IN ST.LOUIS』でジュディ・ガーランドが歌ったシーンを観て感動しました。7歳のマーガレット・オブライエンが泣きながらジュディ・ガーランドのこの歌を聞くシーンは、まるでフレームの中の絵画のようでヴィンセント・ミネリの芸術センスを感じさせます。
今月はクリスマスソングとは関係ありませんが、ジェーン・マンスフィールドのジャケットのレコードです。ジェーン・マンスフィールドの写真のジャケットだけで彼女が歌っているわけではありません。この時期、何枚か彼女がジャケットだけに登場しているレコードがあります。内容はイージーリスニングですが、このジャケットだけで買ってしまいました。もう一枚、TOPS盤の「FOR MEN ONLY」というレコードも持っていますが、これもジェーンは歌っていません。1956年の映画『THE GIRL CAN'T HELP IT』ではジェーンは歌を歌いますが、おそらく吹き替えだと思います。しかしこの映画ではジェリー・ロンドンが「CRY ME A RIVER」を歌うシーンがあります。美しいドレスを何度も着替えて歌うジェリー・ロンドンにはつい見とれてしまいました。 来年もよろしく。
 

  
No.39
「FEELIN' RED」レッド・ガーランド

  
 音楽の聴き方には人それぞれいろんな聴き方があります。楽器のテクニックに感心して聴く人。名演と言われる曲だけ聴く人、漠然と全体の雰囲気を聴く人、様々です。私は、音楽家が何を表現したいのかということを受けとめようと思って聴きます。従ってテクニックはあまり関係ありません。
今月は私の大好きなピアニスト、レッド・ガーランドです。しかも彼の晩年の1978年の録音ですから、1950年代の「GROOVY」の時代に比べるとかなりテクニック的には劣っています。3、4年前オスカー・ピーターソンのライブを聴きに行ったことがあります。面白くない演奏だという人もいましたが、私はピーターソンという人を聴きに行ったので、ピーターソンが弾いている、というだけで良いのです。この「FEELIN' RED」もそういった意味では全盛期のガーランドとは比べようもありません。しかし、私が持っている100枚以上のガーランドのレコード、CDの中で、一番聴いているのは「FEELIN' RED」です。
私は趣味でコントラバスを弾くのですが、この「FEELIN' RED」のベースのサム・ジョーンズのかわりに私が参加して、ガーランド、アル・フォスター、私とトリオで時々演奏します。CDのベースの音をアンプで落としてピアノ、ドラムだけの音にして、私が参加するのです。「IT'S ALRIGHT WITH ME」から「CHEROKEE」まで全7曲やると、本当にガーランドの息づかいが伝わるようで楽しいです。音楽家の名演といわれるものばかり聴くのではなく、その音楽家の一生を通して、またその音楽家の言いたいことを受けとめる、という聴き方をすれば、いっそう音楽を楽しめると思いますよ。
 

  
No.38
「SHOW BOAT」(Sound Track)

  
 私がこのコラムを毎月書きはじめてもう十数年になりますが、書きはじめた頃と今とでは大きく変わったものがあります。それはインターネットの世界です。私の大好きな歌手、コニー・ヘインズにEメールを送ることができるようになりました。驚くべきことです。ただし彼女は今、病気とのことで代理の人から返事がありました。
今月はそのコニー・ヘインズ得意のレパートリーでミュージカル「ショーボート」のサウンドトラック盤です。数多くのミュージカルを観ましたが、唯一「ショーボート」だけは涙が出ました。作曲家ジェローム・カーンの曲はコード進行がおもしろいのでジャズメンのアドリブの素材には最適だ、と書いてあった雑誌をむかし読んだことがありますが、大バカものです。楽器をやりたいのか、音楽をやりたいのか…これ以上は言いませんが、よい演奏が出来る人は、良い音楽に感動出来る人だけです。
ジェローム・カーンの曲の中でも、私は、この映画の中でエバ・ガードナーが歌う「BILL」に涙が出ます。しかし、実際はアネット・ワリンスの吹きかえです。でもこのレコードでは吹きかえ前のエバ・ガードナーの声で入っています。吹きかえる必要のないくらいすばらしい声なのですけれどね。キャスリン・グレイソン、ハワード・キール、ジョー・E・ブラウン等MGMのスター達がすばらしいパフォーマンスを披露してくれます。ぜひ一度ジェローム・カーンのすばらしい音楽の世界を味わってみて下さい。
 

  
No.37
「ON MOONLIGHT BAY」DORIS DAY

  
 私の大好きな歌手、アクトレスのドリス・デイです。このコラムが雑誌時代にも何度かとりあげたことがあります。彼女の映画はたくさん観ていますが、ミュージカルとしての映画は『TEA FOR TWO』とこの『ON MOONLIGHT BAY』が好きです。ドリス・デイに関してはファンが多く今更私が紹介するまでもないと思いますが、私は彼女のレコードは、12インチ、10インチ、7インチ、SPあわせて100枚くらい持っています。30年くらい毎日のように聞いていますが、飽きることはありません。現在のジャズのレコードで、30年以上も聞き続けて飽きないレコードはあるでしょうか。
このレコードは10インチ盤で1950年代のオリジナル盤です。そして、ドリス・デイとアレンジャーのポール・ウェストンの直筆サインが書かれています。ポール・ウェストンはジョー・スタッフォードの夫で、ジョー・スタッフォードだけでなく、数多くのアレンジと指揮をしています。ポール・ウェストンのサウンドは、美しくソフトで包み込まれるような優しさで、私は大好きです。ジョー・スタッフォードの「AUTUMN IN NEWYORK」のアレンジは美の極致と言っても良いと思います。音楽が好きな方は、今一度、ドリス・デイに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
 

  
No.36
「RHAPSODY IN BLUE」OSCAR LEVANT

  
 ミュージカル「パリのアメリカ人」や「バンドワゴン」また「ラプソディ・イン・ブルー」等でピアノを弾いているので彼の顔はよく知られているとは思いますが、私の大好きな俳優オスカー・レヴァントです。「愛情物語」でのタイロン・パワーのピアノの吹き替えをカーメン・キャバレロが行ったのとは違い、映画の中のピアノは当然全部、彼が弾いています。「パリのアメリカ人」や「バンドワゴン」のジーン・ケリーやフレッド・アステアと同じくらい重要なキャラクターだと思います。彼は、1972年に亡くなっているので1974年制作の「ザッツ・エンターテイメント」に解説者として出演できなかったのが残念ですが、本当にすばらしいエンターテナーです。
このレコードは、彼の親友ジョージ・ガーシュインの代表作「RHAPSODY IN BLUE」を演奏したものですが、レコードで彼のピアノを聴けることは少ないので、アメリカでこのレコードを見つけた時は狂喜乱舞したものです。ミッシェル・ルグランをはじめいろいろな人の「RHAPSODY IN BLUE」を持っていますが、オスカー・レヴァントの演奏には映像がオーヴァーラップしてくるのです。ピアニストとしてだけではなく、指揮者、作曲家、コメディアンとしての彼の才能が、他の人とは違う何かを感じさせてくれるのだと思います。
 
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